ウイングフィールド提携公演
ウイングカップ再演大博覧會参加作品
劇団冷凍うさぎ vol.12
「We are lucky friends」
2020/4/10(金)〜12(日)


reitou-usagi / posted on 15 February 2020

HPを新しく作りました

この度、劇団冷凍うさぎのHPを新しく作りました!

↓✌️新しいHPはこちら↓

https://www.reitou-usagi.xyz/

まだ簡素な状態ですが、今後は公演情報やメンバーの情報や

演劇以外の作品などもガンガン発信していく所存です🙇‍♂️

まだ内容を移行しきれていないためこのtumblrも残していますが、

新しい情報は上記のHPにて発信していきますので

よろしくごチェケらのほどお願いいたします!!

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reitou-usagi / posted on 30 October 2019

お知らせ

元劇団員の松田ミネタカ氏の除名について、現劇団員からの説明です。 以下の記事をご参照ください。 http://reitou0usagi.wp.xdomain.jp/2019/10/30/

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reitou-usagi / posted on 31 July 2019

「ながくねむる」を終えて


もう先月の話ではありますが、冷凍うさぎ「ながくねむる」無事終演しました。

概要について改めて説明させていただきますと、京都は河原町にあるUrbanguildというところで定期的に開催されている3Castsというイベントに 参加させていただき、そこで30分ほどの短編をやったのでした。

今回もこの振り返りに合わせて台本を公開しようと思います。以下のURLをクリックしてください。

https://drive.google.com/file/d/11SRfGsUDDECEJ4Xu-l7NU1wNOtYoOwn6/view?usp=sharing


こういうショーケース?的なにかに参加するときはいつも不安になります。
自分なりに良いものを作りたいと頑張っているつもりですが、
そのつもりで作ったものはなんだかいつも地味で良くわかんないものができることが多いので、
単品だったらまだしも、他のひとたちの作品と一緒に並ぶとヤバイかなと思うからです。
今回はどうだったんでしょうか。

うらながせさんかなんかが、今回はお客さんがキュッと見てくれてる感じがして良かったと言ってたので、わりと好感触だったのかもしれません。
僕は今回もちょい役で出てて、上演時間のほとんどを裏に引っ込んで過ごしてたので会場がどんな感じだったのか、あんまわかってないです。

見てくださったみなさん、どうだったでしょうか。
何にせよ、見ていただけただけで有り難い限りです。
ありがとうございました。

いつもそうだと言えばそうですが、今回は取り分けぼくの個人的な話になった気がしてます。
そういう時起きることとして、自分で書いたテキストを自分で読み、いざ演出としてテキスト解釈を披露しようとした時に、「わかるんだけどわからない」みたいな変なことになります。
そういうのに加えて、もともと諸々強くなく心身の調子を崩しがちであり、今回の製作期間中は特にその傾向が出ていた僕を助けてくれて、かつ書かれていることを自分達のこととして置き換えながらしっかり解釈し実の伴った何かとして立ち上げる作業を頑張ってくれた他メンバー三人には感謝が絶えない感じです。お疲れさまでした。

「ながくねむる」というタイトルはここ一年ぐらいの僕の状態からまんま取りました。暇さえあれば寝ています。
どんどんひどくなってきて、最近は時間的に問題ないなら20時間弱寝てます。起きてる時間が好きじゃなくなりました。

頭のなかがぐちゃぐちゃなのかはたまたすっからかんなのか、何も考えられず気分だけが悪くなりがちです。起きてるのや居続けるのが嫌になることがじわじわたくさんありました。
それらからそれなりに時間が経ちましたが、僕は、そういう頭を確実に蝕んでる何かを、まだ整理や解決が出来ずに考えないようにだけし続けていて、なんか無理が来てぶっ壊れたのだと思います。なのでずっと寝てるととても楽で良いです。
多分、あまりにもダメージを食らった理由には、じわじわたくさんあった嫌なことよりずっと昔ずっと奥に、それらと結び付く、自分が存在している、し続けているということへの、罪悪感というか致命的間違い感というか、キリスト教で言うところの原罪(僕は別に教徒ではないですが)みたいなものがあったのだと思います。
今回のは夢という媒介でもって、起きていては出会いづらいその奥の方にあるものと向き合う、再確認するという、なんかそのへんについての話だったと思ってます。信仰を発見する旅路だったのかもしれません。ぜんぜん違うかもしれません。

最悪なことばかり起きるし、最悪な状態がもっと悪くなることばかりですが、八割九割諸々が続いていきます。
続いていくということそのものもいいことなのかわるいことなのかもわかりませが、終わらない限りはやっていきたいとは思っています。

森岡

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reitou-usagi / posted on 2 June 2019

新作「ながくねむる」in 3CASTS at UrBANGUILD

劇団冷凍うさぎは半年ぶりの活動として、6/25(火)、京都河原町はUrBANGUILDで行われる3CASTS vol.12に参加し、30分の短編をやります。完全新作!

前売り1800円+1ドリンクのお値段で三本の短編が見れます。うちがやるのはそのうちの一本。俳優さん女優さんは400円引き!

下の URLから3CASTS vol.12の詳細が見れます。UrbanguildさんのHPです。ここから予約出来ます!
http://www.urbanguild.net/ur_schedule/event/625tue-3casts-vol-12

さらに以下、うちの演目の詳細です。

作品名 「ながくねむる」

作・演出 森岡拓磨

出演 浦長瀬舞
電電虫子
森岡拓磨
今西タツヲ

夢の中で国家権力や異形のものと戦ったり、「探しています」の張り紙の知らない人に夢中になったり、見知った場所で見知った人と初めて知り合いになったりする、ほどほどに元気が良くて、気持ちもハリがある感じで、健やかで、Love多めな作品です。

もう地獄めぐりはやらない!わりとやったから!

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reitou-usagi / posted on 2 November 2018

「ジメチのルトリ線プタミン駅にて」を終えて

「ジメチのルトリ線プタミン駅にて」がだいぶ前に終わりました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。


挨拶という形で作品を振り返る、みたいな記事ではありますが、別に語り残したこと・語りつくせぬことがあったわけでもなく、書くことも特に浮かびません。僕の中では、この作品に関しては上演おわりと一緒にきれいに区切りがついたのだと思います。なので、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。


台本を読める状態にそっとしておこうと考えました。この台本を読むことは、良くも悪くも、上演作品を観ることと綺麗にはつながらない気もしますが、なんだか公開しておきたくなったのですることとします。自分の意図や公開の意味はまたのんびり考えます。


下記のURLよりpdfファイルがダウンロード出来ます。https://drive.google.com/file/d/1XoHnwM65Az5avaBQLuUOS1vI_jE4vcDQ/view?usp=drivesdk


なんかそれなりに長いことやってますが、最近は具体的に「つくる」ということを楽しめるようになってきてる感じもして、とても楽しい稽古と上演でした。また近いうちにああいう楽しいことをしたいものだとざっくり思います。


そう言いつつも特に次回のことは決まってません。が別に決まってないことにも深い意味はありません。またしれっとお会いできる機会が生まれるかと思いますので、またその時はよろしくお願いします、という感じです。


皆様も、観念よりもまず、良き良き日常をお送りください。


森岡

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reitou-usagi / posted on 19 September 2018

「ジメチのルトリ線プタミン駅」のはなし

前回のカゲキ(2015年3月/pair.39)では、火事で子供2人を失い、幾年か経ち自殺を決意した夫婦が最期の休憩をしようと立ち寄ったパーキングでの会話、をやりました。

この作品に限らず、冷凍うさぎはみんな死ぬとかなんとか、何かが終わりを迎える話が多い気がします。しかしそれは、私森岡が、みんなが死ぬことや世界が滅びることを望んでいるからではなく、むしろ望んでいようがいまいが終わりは訪れる、ということにこそ恐怖し、執着しているからだと思います。

しかし、最近はまた別の怖さにも取り憑かれているようです。それは、もし終わりなんてなかったらどうしようということです。終わりだ、もうダメだ、と思っているのに全然終わらない。自分で終わらせにかかる勇気も足りてない。どうしよう?

というわけで今回の作品です。

これを書いてて気づきましたが、火事にあって諸々を失った人たちが旅に出て、というところが奇しくも前回の短編と同じですね。パーキングと、プタミン駅は同じ場所なのかもしれません。しかし、今回は駅からさらに先へずんずんと歩いていく話です。

終着点、だと思った、思い込んだその先へ歩いていけるのは、今回人のそばに犬がいるからでしょうか。もうだめだ、終わりだ、と過去と未来に捕まった人間と、そのそばで今だけを生きて跳ね回る犬の旅を、是非是非見に来ていただきたいです。

森岡

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Originally posted by catchymemes

次回公演の詳細とご予約はこちらのページから

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reitou-usagi / posted on 22 February 2018

往復応援コメント《劇団冷凍うさぎ⇔N₂》

お互いに応援コメントを送りあう企画!ふたつめ!
今回はウイングカップ6を同時受賞しましたご縁で、今回はしご企画をしておりますN₂の主宰で劇作家、演出家の杉本奈月さんからのコメントです!

N₂さんは現在京都で公演中です。
詳細はこちらから↓
http://gekidann2.blogspot.jp/2017/12/tab3.html?m=1#next

N₂さんとのはしご企画のチケットについてはこちらから↓
https://t.co/p4krQavbGW


【N₂ ⇒ 劇団冷凍うさぎ】

「うさぎちゃん」といって「月野うさぎ」を思い浮かべる人口の多い世代が、1990年前後に生まれた「わたしたち」であるのだろう。彼女は『美少女戦士セーラームーン』シリーズの主人公であり、原作者は2018年1月の『週刊少年ジャンプ』にて約四ヶ月ぶりに連載を再開した『HUNTER×HUNTER』の作者・冨樫義博の妻であり、そして薬剤師である。(因みに、劇団冷凍うさぎ所属の女優・浦長瀬舞は薬学生であり、私は二年前に薬学部を退学した身である。)ただ、少なくとも私にとって未だ親近感が湧くのはアニメ作品の方であるのだが、漫画作品を読んでいた女性は少ないのではないだろうか。監督をしていたのは幾原邦彦、代表作の『少女革命ウテナ』(合唱オリジナル楽曲は過去に天井桟敷、現在は演劇実験室◎万有引力にて音楽を手がけているJ・A・シーザーによる)、昨今では新しいものから『ユリ熊嵐』、『輪るピングドラム』などが著名である。さて「まわる」とタイプすると左記のタイトルが変換候補に出てきたので驚いたが、劇団冷凍うさぎ vol.11『No Surprises』では「雷」が一つのキーワードであるらしい。一方で、N₂ Tab.3『雲路と氷床』の副題は “Lightning talk is working in silence.” である。"lightning" は日本語で「電光」となり「雷鳴」は英訳すると “thunder” ――前者は光で後者は音。この二つは一般に「目耳と痛覚として感知できても接触できない」波であるが、雷は氷の粒子としての雲により生じるものだ。劇団冷凍うさぎ所属の宣伝美術・電電虫子による一貫してモノクロであり続ける公演フライヤーには、感電したような人間が描かれている。あらすじには「雷さまのミス」で死んでしまった女。「雷」は自然現象の意にとどまらず、日本古来の雷神信仰にある通り「神」や、異国の神話における「父」へつながることもある。また「地震雷火事親父」という言い回しがあるように恐怖の対象として論われるのが常である。我先に――と、様々な作家たちが書いてきたのに、脱感作していた内臓を大きく揺さぶられた「あの日」が風化の一途をたどる現在地にあるものの、今も生き長らえ演劇をしている「わたしたち」に共通するのは、1995年と2012年の二度に渡る震災を「知っている」世代であるということだ。自身が直接、害を被った訳ではない。でも、あの明朝と昼下がりが契機となって眠らせていた土から、あなたからすると他人事で小さな、それでも「わたし」にとっては深い悲しみが掘り起こされてしまったのは確かである。地続きの国土で、唯一神ではない遠くの誰か、あるいは身近な何かへの「ハコ」を通した送受信が肯われているように、わたしたちは、かくも私事である個々のバックグラウンドを携え、いつだって「あなた」と「あなたたち」へ触れられなかった世界を背景にしたがっている。詩情をもって隣人の死のにおいを漂わせる腕の抱き心地。凍えるより寒い一人部屋で走らせるペン先。うさぎは淋しいから死ぬのではない。動物なのだから未病のサインを感知できなければ、病は日に日に進行するのだ。二年前、私が「何も語らないことに殊更、雄弁」であったのに対し、再び重い腰をあげた劇団冷凍うさぎ代表の森岡拓磨は、劇作・演出として今更、何を熱弁してくれるのだろうか。彼の極端なまでに軽薄なような台詞回しは、決して浮世ばなれした人間模様を写実しはしない。77Kの沸点、現代に生きるわたしたちが日常で見聞きしていた会話は、すでに彼らの手腕によって気化している。短絡し遅れてやってきた表現たちへ、物語の骨子まで焦がしたあとの煙を立たせながら。(2018年2月 終電を待つ阪急烏丸駅のホームにて)

N₂ 杉本奈月


【劇団冷凍うさぎ ⇒ N₂ 】

‪去年の春先頃に観たN2は、空間でありました。言葉や身体がもちろん在るのですが、それよりまずなのか、その結果なのか、兎にも角にも空間があり、そう言えば、ここは元より空間であり、僕は空間を普段から見、そこにいるのだったという事を思い出し、演劇は空間をアレしてるのだというとても大事なことを思い出し/気づきました。‬
‪空間があることが認識出来ると、その空間にあるものも違って見えてくるもので、あぁ、空間にはこんな風に、あるいはあんな風に声が響くのだなぁ、と感動したりするようになります。皆さん知っていますか?空間には声が響くのです。空間に声や言葉や身体があったりするのは、結構面白いことなのです。知っていましたか?僕はそういうことをN2を観て思い出しました。‬
‪そんなN2の次回作は、僕の知ってるそれとは違うものへと変わっているかもしれませんが、それ故に、また新しい思い出し/気づきを得ることが出来る公演になっているのではないかと思っています。‬

劇団冷凍うさぎ 森岡拓磨

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reitou-usagi / posted on 21 February 2018

N₂ ×劇団冷凍うさぎ はしご企画 応援コメント《橋本匡市(万博設計)》

万博設計主宰、そしてウイングフィールド企画主任であります橋本匡市さまから応援コメントをいただきました。

ウイングカップの企画運営を始め、vol.11「No Surprises」でも大変お世話になっております。

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「関西小劇場の今」と一括りに総括されるとき、やれ衰退しているだの、閉館が相次いでいるだの、集客がどうのこうの、景気の悪い言葉が枕に並ぶ。全くもって納得いかない。過渡期を過ぎたものの枯れゆく様を見て嘆く言葉ばかり撒いてもはじまらない。その枯れた葉の下で力強く息吹始める萌芽も陽の目に当たらなければ育つまい。ウイングフィールドにて「ウイングカップ」という若手劇団のコンペ祭を1年毎に開催させていただいているが、受賞の有無に関わらず沢山の萌芽が息吹く様を毎年見て取る事が出来る。もっと陽の光を浴びて欲しいし、雨風に晒されてさらに逞しく育って欲しい才能が沢山います。見逃してませんか?

「劇団冷凍うさぎ」は、一見かわいらしい団体名に似つかわしくない、人間のグロテスクな本質を暴く作風が目を見張る。時に優しく、時に愛し、時に忘れて、時に騙して、時に殺す。そんな人間の多面的な側面を、作品によって様々な作風で書き分けるので、毎回作品のタッチに変化がある。しかし通底している題材は個人とセカイとの対峙であろう。その対峙には痛みが伴う。その痛みは、現代に生き辛さを感じる寂しげな個人の心の叫びだ。それはあなたや、あなたの側に必ず在る心の有様だ。その叫びが人間の物語となって舞台に表出する。

「N₂」を観る際には、自分の眼球に張り付いてしまっている薄っぺらいフィルターを何枚か剥がしてから目を開く感覚で臨む。既存の舞台を観る感覚で対峙すると、永遠に影を掴む地獄に落ちたのかと感じてしまうからだ。しかし、舞台上に確かに点在する言葉をしっかりと見聞きし、自分なりに言葉を立体に繋いでいくと、その影は影法師となりゆらゆらと舞台上で動き始め、躍動し、眼前に鮮やかな色彩が弾け飛ぶ。この感覚が気持ちよく感じられるならば、この演劇が遠い世界の演劇だとは思わないはずだ。唯一無二がここにある。

一昨年、両団体が最優秀賞を同時受賞した意味を、是非皆様にも体感していただきたいと強く願います。もう一度言います。見逃してませんか?

【プロフィール】
橋本匡市
演出家/劇作家/宣伝美術/万博設計代表/ウイングフィールド企画主任
近畿大学文芸学部卒業。伊丹想流私塾第16期卒業。劇団「尼崎ロマンポルノ」を旗揚げし、作・演出を担当。ウイング再演博、精華演劇祭、こまばアゴラ劇場等数々のフェスティバルに参加。2012年に劇団を解体し演劇ユニット「万博設計」を立ち上げ代表を務める。「幽霊’」が第22回OMS戯曲賞最終選考ノミネート。佐藤佐吉賞2016優秀宣伝美術賞受賞。

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reitou-usagi / posted on 21 February 2018

N₂ ×劇団冷凍うさぎ はしご企画 応援コメント《土橋淳志さん(劇団A級MissingLink)》

ウイングカップ6の審査員でもあり、劇団A級MissingLinkで劇作家・演出家をされている土橋淳志さんより、劇団冷凍うさぎ及びN2へコメントをいただきました!

受賞作を振り返っていただいております。

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二年前、2016年に開催されたウイングカップ6で最優秀賞を受賞した二団体、「劇団冷凍うさぎ」さんと「N2」さんが同時期に公演をするということなので、ちょっとした文章を寄稿することになりました。せっかくなので記憶を紐解きながら受賞作品について書きますね。個人的には非常に対照的な二作品の最優秀賞受賞であったと思います。どのように対照的であったかといえば、饒舌と寡黙、とでも申しましょうか。

劇団冷凍うさぎ『We are lucky friends』は持って回った語り口の饒舌なプレイヤーが無数の並行世界を転々とし、NPCともいえる他の登場人物たちと共に、劇中で「腐ってしまった青春」と形容される時間をゲームさながら攻略しては、並行宇宙の雨によってそれをリセットされる、いわゆるループものといえます。『魔法少女まどか☆マギカ』に例えるなら、語り手の男性、カズ君は「暁美ほむら」であり、「いつまでこんな感じでいるわけ?」という台詞を繰り返す特異点としての彼女、チーコは「鹿目まどか」、未来から来た観察者は「キュウべえ」にあたります。そういった意味で既視感は拭えないんですが、ひねくれ者の主人公の行動はスリリングで単純な攻略に向かわないし、特異点の彼女すら他のNPCと同じく交換可能であるという冷めた眼差し、そして脱出口として「父親になること」というベタだけど多くの男性が未だに囚われているという意味で馬鹿に出来ない、近代的な成熟の道筋も用意してある(ここが『魔法少女まどか☆マギカ』と大きく異なります。主人公を男性に、特異点を彼女にしたことによる必然だったかもしれませんが)など、非常にクレバーな痒いところに手が届く仕上がり具合には並々ならぬ力量を感じました。さらには、前述の「既視感」ですら織り込み済みのように思えるんですね。というのは『We are lucky friends』が『魔法少女まどか☆マギカ』に代表されるゼロ年代に猖獗を極めたループものの広義の二次創作だとするなら、『We are lucky friends』の劇中に登場する無数の並行世界は主人公の元いた世界の二次創作ともいえるからなんです。などなど、こんな風にゼロ年代の道具立てを使ってうっかり饒舌に語らされてしまうところが、冷凍うさぎの魅力といえます。

翻って、劇団N2『居坐りのひ』については冒頭で「寡黙」と書いた通り、多くを語るのが、何というか難しい。理由は一応あって、「この世界ではだいたいのものが上から下に落ちる」と劇中でも語られているように、『居坐りのひ』という作品が垂直の運動に貫かれているように思えたからなんです。約一億五千万キロメートル離れた「あの日」から見下ろされた、「いつの日か、雨はそこへ降っていた」らしい岩礁、その上に座っている人魚と、その下に座っている歌歌い、海を失い水平移動を禁じられた船乗り、空を飛ぶ鳥と地を這う蛇、傾けてはいけない竿。そして、落とし子はあまりに多くのことを忘れてしまっているし、「彼ら」は言葉を無くしてしまう。「言葉ではどうにもならないことがあった」からなんですが、「言葉ではどうにもならないこと」とは、一体何でしょう? それは例えば、劇中で、かつて降った雨、雨の雫そのものの生きる垂直運動の軌跡に他ならないのでは、と思うんです。そして、その縦に走る運動は、言葉にすること、いや、容易に思い出すことすらできないが故に、人を惹きつけるのではないでしょうか。運動とは、現在として生きられることしか知らぬ存在と非在を超えた体験なのです。まるで『居坐りのひ』の上演のように。

というわけで以上、「劇団冷凍うさぎ」さんと「N2」さんが同時期に公演をするということなので、寄稿することになったちょっとした文章でした。両劇団の公演の成功を祈ります。

参考文献 蓮實重彦『夏目漱石論』

土橋淳志(劇団A級MissingLink)

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reitou-usagi / posted on 21 February 2018

往復応援コメント《うんなま↔︎劇団冷凍うさぎ》

お互いに応援コメントを送りあう企画!
今回は冷凍うさぎに2度客演していただき、冷凍うさぎの劇団員のほとんどがうんなまさんに客演した経験があるという、とても親交の厚いうんなま・主宰の繁澤さんからのコメントです!

うんなまさんのWEBページには掲載済みでありますが、こちらにも掲載させていただきます。


【うんなま⇒劇団冷凍うさぎ】
僕は、わりと森岡くんを羨ましく思っています。なぜかというと、こんなにも周囲にその才能を認められている、愛されているにも関わらず、本人は悶々と、と言うか、ゴーイングマイウェイを貫いている(しかしながら、迷いも垣間見せる)からです。そう、森岡くんは「愛されキャラ」なのです。
しかしながら、森岡くんが自分は「愛されキャラ」だと認識して上機嫌に、周囲にきちんと「良い人」として愛想良くふるまっても、それはそれで、ああ、もったいないなあ、と思ってしまうのかもしれません。
なんでしょう。とかく、森岡くんには「良いものをつくる」そのことに、ただ一心不乱に夢中になってほしいのです(なっているとは思いますが)。僕は、数回彼と一緒に創作しているというのもありますが、森岡くんの、冷凍うさぎの、オタッキーなスイッチでつくる渾身のものに本当に期待をしているのだなあとたまにしみじみ思っていますし、と言いつつもここまで述べた僕の期待なんてガン無視する/飛び越える/予想を超える勢いで、面白い作品をつくって欲しいなと思っています。

うんなま 繁澤邦明


【劇団冷凍うさぎ⇒うんなま】
‪僕が知っているうんなまは、音とクリシェとあと幼児のような(あるいは小学生のような)心で織られた何かであります。また、洋楽のようなものでもあります。根っこの部分の意味はさておいて、音やフレーズやおふざけ地味た何かの気持ちよさでふわ〜っとなるのですが、後々で歌詞を読み返してパズルのピースがはまった時、ふえ〜っとなるという、一粒で二度美味しいところもあります。のたくったコメントになっていますが、なんというか、人がわーわー、ごそごそ、パキパキ言ってんのは面白いよね、という当たり前のことでありながら、意外と当たり前でなくなってることを、当たり前にやっている、ある種の王道、スタンダードを行っているのではないかという趣があるのです。当たり前のことを言おうにも、一見不思議なことになってしまうよは、現代の病みの反映なのかもしれませんが、それでは一層、うんなまは現代のスタンダードを体現した一つの形なのではないか〜となるわけですね。。嫉妬します。‬

劇団冷凍うさぎ 森岡拓磨

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